青森県八甲田山でタケノコ採りの中学生死亡
20日午前6時45分ごろ、青森市の八甲田山にある酸ケ湯(すかゆ)温泉近くの沢でタケノコ採りをしていた女性から「2人が倒れた」と携帯電話で119番があった。消防や警察などが駆け付けると、同市八幡林、市立東中学2年、伊藤実姫(みき)さん(13)と母親の真弓さん(45)が倒れており、現場で実姫さんの死亡を確認した。真弓さんと通報した親族の女性(35)、女性の息子(11)の3人が病院に搬送されたが命に別条はないという。
県警青森署は、実姫さんらが、有毒な二酸化硫黄や硫化水素などを含む火山性ガスを吸ったとみて詳しい原因を調べている。現場は青森市中心部から南東約20キロ。酸ケ湯温泉から登山道を約1キロ上り、獣道に入ると沢があるが、立ち入り禁止規制などはないという。
実姫さんの親族らによると、実姫さんは19日、母や祖母、いとこら計6人で温泉近くにテントを張って宿泊。20日午前6時半ごろ、母親らと4人でタケノコを採るため山へ入った。実姫さんは歩いている途中で気分が悪くなり、しゃがみ込んで意識を失ったという。別グループで行動していた親族の男性は取材に「救助時、辺りで強い硫黄のにおいがした」と話している。
青森地方気象台によると、酸ケ湯温泉付近は事故当時、ほぼ無風状態で「火山性ガスがたまりやすい状態だった可能性がある」と指摘。八甲田山ろくでは97年7月、火山活動に起因する二酸化炭素のたまった陥没穴で訓練中の陸自隊員18人が倒れ、3人が死亡する事故が起きている。
◇現場付近に強い硫黄臭
青森市富田の無職、石塚静男さん(70)は知人5人とタケノコを採っていて事故に遭遇した。誰かが呼ぶような声が聞こえたため沢の方へ向かうと、斜面中腹に実姫さんが倒れていたという。
傍らでは、実姫さんの母親と思われる女性が心臓マッサージをしていたが間もなく倒れた。別の女性が実姫さんのほおをたたきながら名前を呼び、そばで男児が「助けてくれ」と叫んでいたという。
沢には各所でわき出した湯が流れ、強い硫黄臭がした。安全な場所に運ぼうと、石塚さんは知人男性3人とともに倒れた女性を抱え、獣道を20~30メートルほど運んだという。
(毎日新聞ホームページより引用)